「インデックス投資は勝者のゲーム」を読んで #2【感想】

インデックス投資の第一人者であるジョン・C・ボーグル氏の著作である「インデックス投資は勝者のゲーム」を読みました。

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本書の主張は
「投資をする上で最も重要なのは『コスト』であり、コストを差し引いた後の市場には勝つことができない。そのため、最も最良の方法は市場全体のポートフォリオを有するファンドを所有し、永遠に持ち続けること」
です。

はじめに

本書の内容としてはインデックス投資を勧める他の書と大きく違いはありません。コストの安いインデックス・ファンドを所有し持ち続けることが投資において最良だと結論づけています。

しかし、有名な「敗者のゲーム」等の書と比較して具体的な数字を多く出しています。アクティブ・ファンドのコスト、インデックス・ファンドのコスト、S&P500の長期的なリターンや債券のリターン等を細かな部分まで数字を用い計算しています。

そのため、慣れていない人にとっては非常に読み辛い内容だと思います。インデックス投資を始めるため、又は知るために読むのであれば先に「敗者のゲーム」や「投資の大原則」から入った方が良いと思います。

市場に勝つことはできない

本書も市場には勝つことはできないと主張しています。なぜなら投資を行う上で必ず「コスト」が発生するからです。購入手数料、信託報酬などのコストを差し引いた後で市場に勝つことはできないと全編を通じて何度でも訴えています。

この主張に関してはコストの話も合わせて非常に説得力があると思います。細かく検証したわけではないので確証はありませんが、具体的な数字も示しているので興味があれば検証してみてもいいかもしれません。

本書が訴える市場に勝てない理由を簡単に説明します。

ゼロサムゲーム

ゼロサムゲームとは参加者の利益と損失の総和がゼロになるゲームのことです。

コストを差し引く前は市場に勝つことはゼロサムゲームです。つまり、利益を上げたファンドと損失を計上したファンドの総和がゼロになると本書では言っています。

敗者のゲーム

そして、投資に対するコストを差し引くと市場に勝つことはできないと言っています。投資には必ずコストが発生します。そのコスト分を差し引くと市場に勝っていたファンドが市場に負けることになります。このあたりは感覚的なんとなくわかると思います。

平均回帰

コストを差し引いても市場に勝っているファンドもあるというのはその通りですが、世界の原理として平均回帰という現象があります。長期的にデータを見ると平均に回帰する現象です。サイコロの出目が1/6に収束するのと同じです。

短期的にコストを差し引いたあと市場に勝っていても長期的に勝ち続けることは不可能だと過去のデータを用いて断じています。

投資家が取るべき行動

投資で成功するためにはコストの安いインデックス・ファンドを買い、永遠に持ち続けることを推奨しています。ポートフォリオを回転させることによりコストがかかるからです。さらに、暴落時も何もしないのが良いと言っています。

正直、かなり難易度が高いです。特に暴落時はどうしても資産のマイナスに精神的に耐えられない状況といいますか、ラインがあると思うからです。過去のデータで示している通り、必ず回復する公算が高いこともわかりますが、いざその状況になったとき難しいと思います。

まとめ

冒頭でも書いた通り、インデックス投資を始めたい人や始めたばかりの人は本書より「投資の大原則」を読んだ方がよいと思います。少し慣れて来たら「敗者のゲーム」を具体的に詳しい内容を知りたければ「ウォール街のランダム・ウォーカー」を読むという順番が王道です。

内容は非常に良いと思いますが、インデックス投資を行う上で日本語書籍としては中途半端な位置づけになると思います。「敗者のゲーム」と「ランダム・ウォーカー」の中間ぐらいでしょうか、そのため殆どの人は読むことがないと思います。私は好きです。

しかし、そうは言ってもインデックス投資の父であるジョン・C・ボーグル氏の本なので上述している本を読んだ後に目を通してもいいかもしれません。