「スタンフォードの自分を変える教室」を読んで

随分前の本ですが、所謂、積読状態になっていたので読んでみました。最近、自己管理も杜撰になってきているのでちょうどいいと思ったのもきっかけとなりました。

内容としては日本の本でよくある「TOOL」の紹介や利用を促すものではなく、自身の考え方や気付きの点から諭す感じです。なぜ、そのような行動を行ってしまうのか、その時の心理的な状態を様々な実験結果も参考にしながら具体的に説明しています。奥付は2013年となっていますが、いつの時代も通じる教えだと思います。

概要

自分を知る

はじめに、この本ではなぜ失敗するのか自覚し、自己コントロールの必要性を説いています。人が知りたいのは自分で決めたことをなぜ行うことができないのか?どうして失敗するのか?ということです。自分がどのように、なぜ自制心を失ってしまうのかを理解することが最も必要なことだと著者は考えています。

そして、出来ない理由を特定することが自分の「意志力」を高める最善策だとしています。自分が失敗する瞬間に気づき、思いとどまる練習をすることです。特に失敗する瞬間に気づくことは本書を通して何度も語られており、重要度の高い内容となっています。

また、比較的、簡単に自己コントロールを高める方法として「瞑想」を行うことを推奨しています。瞑想には注意力、集中力、ストレス管理、衝動の抑制、自己認識といった自己コントロールのさまざまなスキルが向上する効果があるそうです。定期的に行えば脳にとって良い効果が期待できるようです。本書ではこれらを証明する実験の内容も紹介しており、瞑想の行い方なども紹介しています。

なぜ「やりたくないこと」をしてしまうのか?

人がやりたくないことをしてしまう原因はドーパミンによる衝動や疲労によるストレスで自制心が発揮できていないからです。自制心は筋肉に似ており、本書では「使い果たしてしまう」と表現されています。睡眠不足や一度に多くのことをコントロールしたり、変えようとすればやはり、意志力を使い果たしてしまうそうです。これは意志力の性質でもあります。

意志力を鍛える方法としては「運動」や「難しい方を選択する」などのトレーニングプログラムを行うことで鍛えることができるようです。運動や軽いエクササイズを行い脳を鍛えることで意志力の保有量を増やすことができ、結果的に意志力を鍛えることができます。また、睡眠時間も非常に重要で6時間「未満」の睡眠ではストレスや欲求、誘惑に負けやすくなると訴えています。

意志力は感染する

日本には「類は友を呼ぶ」という言葉がありますが、意志力も似たような性質があり、周囲に影響を与えるそうです。このことは米軍を例にして本書で説明されています。自分の周りでも一人が「禁煙」を始めると周りの人まではじめ、一人が失敗すると周りの人も失敗するという「感染」現象を確認できると思います。

この感染から身を守るのは難しく、意志力や自制心を鍛えることはもちろんとして、お手本になる人を見つけることや努力することを「ふつう」にする必要があります。上述した意志力、自制心を鍛え、さらにコミュニティに参加することなど周囲の環境を整えることも重要となります。

感想

内容は抱えている問題例、原因、解決法または思考法と順序立てて説明しているのでわかり易いですが、文字にするより講義で聞きたい内容だと思います。もともと講義の内容を書籍にしていると思うので文字として読むと例として上げている内容が読みにくと感じます。この手の翻訳本で感じる翻訳による読み難さは問題ないと思います。

内容は日本の自己啓発本によくあるツールの紹介的なものではなく、考え方や意識の方を中心に解説しています。嵌まれば上手くいきそうですが、失敗する例も多いだろうなと感じます。特に意志力の「感染」を防ぐ方法が難易度が高そうです。自分は一気に読んだのですが10週間のプログラムとして組まれている内容らしいのでゆっくり理解しながら読んだ方が良いと思います。

内容自体も悪いものではなく、読みにくくもないので、買ってみてもいいかもしれませんが、積読していたので内容が古くなっているかもしれません。その辺は注意して下さい。

余談

この手の自己啓発系の本、特に白人が書いた本は「瞑想」をエラい推してくるのが多いと思います。なんかその手の人を引きつける魅力があるんでしょうかね?
あと、自己啓発ものは読み過ぎに注意です。