GPIFの運用状況を眺める

GPIFの2020年度運用結果が発表されているので眺めます。

年金積立金管理運用独立行政法人

はじめに

GPIFとは年金積立金管理運用独立行政法人のことで、簡単に言えば私達の年金を管理してくれている組織のことです。2014年ごろに運用資産の構成割合を変更し、株式の保有割合を増やしたことによる批判が記憶に新しいですね。2015年には5兆円程の「評価損」を大きく批判されていました。この時の収益率は「3.81%」です。

GPIFは組織の特徴上、長期的に資産を減らすことは許されないです。そのため、資産ポートフォリオは非常に保守的となっています。2021年3月末時点では表のような割合になっています。

国内債券 国債 国内株式 外国株式
25.92% 24.61% 24.58% 24.89%

数字を見ればだいたいわかると思いますが、代表的な4資産を等分したポートフォリオを目指しています。

2020年度の運用状況

収益率 収益額 運用資産額
25.15% 37兆7,986億円 186兆1,624億円

非常に良い結果となっています。
日本人の年金を確実に増やしてくれいます。感謝です。

通期結果

株価の割合を増やした2014年からの結果を表にしていました。

2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2001年から通期
収益額 (兆円) 15.3 -5.3 7.9 10.1 2.4 -8.3 37.8 95.3
収益率 (%) 12.27 -3.81 5.86 6.90 1.52 -5.20 25.15 3.61

通年で見ても順調に資産を増やしていると思います。
すばらしい運用です。

2015年の損について

2015年にGPIFの評価損が強く批判されていましたが、当時、批判していた人たちは投資の考えが短期的だと思います。なぜなら、評価損の「収益額」ばかりを批判していたからです。投資を行っている人であれば重要なのは「収益額」ではなく、「収益率」であることを知っていると思います。「収益額」というのは投じた金額により変動するため資産運用の評価に用いるのは間違っています。運用の是非を問いたいのであれば「収益率」を見るべきです。

2015年、評価損を出した時の「収益率」は「-3.81%」となっています。投資を長期で考えるのであれば、はっきり言って誤差の範囲内です。約4%の変動は年単位でなくとも月単位、週単位で頻繁に発生しています。その一部を取り出して批判していただけだと思います。長期的な考えが足りていなかったと思います。

感想

GPIFの安定した運用は見習うところが多いです。特に年齢が上がり、資産が減ることに強い不安を覚える頃に心強くなってくると思います。GPIFは年金を運用している以上、長期的な損が許されないプレッシャーの中でポートフォリオを組んでいます。当然、保守的なポートフォリオになります。日本でも有数の賢い人たちが考え、分析した結果のポートフォリオとなるため、信用度が非常に高いと思います。

GPIFには今後も堅調に日本の年金を運用してもらいたいと思います。