8資産均等型投信は本当にバランスがいいのか確認 #2

前回 からの続きです。

今回はバランスファンドが採用しているベンチマーク指数の内訳を調べて、最終的な資産バランスを考えていきます。
なんとなく、結果が見えていますが、やっていきます。

各指数の内訳

TOPIX

東証一部上場している全銘柄を対象。

割合 (%)
日本 100

MSCIコクサイ・インデックス

MSCI社が算出している日本を除く先進国23カ国の大中型株を対象とした指数。

割合 (%)
アメリ 72.47
イギリス 4.52
フランス 3.6
カナダ 3.51
スイス 3.12
その他 12.78

MSCIエマージング・マーケット・インデックス

MSCI社が算出している新興市場26カ国の大中型株を対象とした指数。

割合 (%)
中国 34.62
台湾 14.55
韓国 13.42
インド 10.72
ブラジル 5.27
その他 21.41

NOMURA-BPI総合

日本国内で発行された債券の動向を表すための指数。

割合 (%)
日本 100

FTSE世界国債インデックス (除く日本)

FTSE社が算出している世界の主要国を対象とした債券指数。

割合 (%)
アメリ 44.8
イタリア 9.9
フランス 9.7
ドイツ 6.7
イギリス 6.6
その他 22.3

JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファンド

JPモルガン社が算出している新興国の現地通貨建て国債を対象とした指数。

割合 (%)
中国 10.1
メキシコ 9.3
インドネシア 9.3
タイ 8.7
ポーランド 8.1
その他 54.5

東証REIT指数

東証に上場しているREITの全銘柄を対象とした指数。

割合 (%)
日本 100

S&P先進国REITインデックス

S&Pダウ・ジョーンズ社が算出している先進国25カ国を対象とした不動産指数。

割合 (%)
アメリ 73.4
オーストラリア 6.9
イギリス 5.8
その他 13.9

eMAXIS Slim バランス (8資産均等型) の内訳

全体の割合をまとめるとこんな感じになりました。

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eMAXIS Slim バランス 内訳

株式組入の上位5国

割合 (%)
日本 12.5
アメリ 9.06
中国 4.33
台湾 1.82
韓国 1.68

債券組入の上位5国

割合 (%)
日本 12.5
アメリ 5.60
中国 1.26
イタリア 1.24
フランス 1.21

REITの組入上位国

割合 (%)
日本 12.5
アメリ 9.18
オーストラリア 0.86
イギリス 0.73

感想

株式について
組入上位国を見てバランスが良いとは感じないと思います。まず、東アジアに偏り過ぎだと感じます。また、GDPの規模から考えてもバランスが良いとは言えないと思います。また、個人的な意見ですが、政府の一存で議論もなく政策が決まる中国を上位に持ってくるのはリスクを取りすぎていると思います。GDPが世界2位の大国でもです。

債券について
意外とバランスがいいように見えますが、全世界のバランスから考えると日本に寄りすぎている様に思います。

REITについて
世界のREIT市場を考えて、このバランスは良くないと思います。REIT市場はアメリカが圧倒的王者なため、もっとアメリカの割合を高くしたいです。日本に寄りすぎていると思います。

全体を通して「日本」市場に偏っている商品と考えられます。この商品1つで全世界の株、債券、REITに分散ができ、資本主義の恩恵を受けるものではないと思います。株、債券、REITの全てにおいて日本の影響を強く受ける商品になっています。保守的に運用するのであれば選択してもよいかもしれませんが、インデックス投資を考えているのであれば確実に選択肢から外れる商品となります。

また、この商品を中心にインデックスのバランスを整えることも難しいと思います。中身を調べるのに時間が掛かる上に日本の割合を下げるために似た指数の商品を買わなければいけなくなります。それならいっそ最初からその商品を買ってバランスを整えた方が楽です。

結論
8資産バランスというわりには日本市場に偏りすぎています。この投資信託一本で良いという意見にも疑問が残ります。
また、この商品を中心に据えた運用を行うには構成が複雑になりすぎます。
個人的に他人には勧めることはできないファンドだと思います。自分でも買うつもりもないです。