バンガードの有名ETFを比較する #2

前回からの続きとなります。

全世界株式である VT、米国全体である VTI、S&P500 に連動している VOO のバンガード ETF を比較します。 前回は ETF の内容や構成を比較し、特に組入れ上位の銘柄は変わらないという結論になっています。 そして、全世界株式に投資する VT でも中身の 60% 以上は米国に偏っています。 やはり、株の世界において現在、米国の影響力は絶対的です。

money.nyaomin.info

経費率と分配金利回り

経費率 (手数料) と分配金利回りを一覧表にします。

ETF 情報は SBI 証券の外国株取引口座を元にしています。

項目 VT VTI VOO
経費率 (%) 0.07 0.03 0.03
分配金利回り (%) 1.97 1.33 1.36

個人的には分配金利回りよりも経費率の方が重要です。 なぜなら、最も効率のよい運用を行うのであれば分配金はない方がよいからです。 分配金がでると税金を払う必要が有り、結果的に再投資に充てる金額が減ります。 再投資の金額が減るということは % で考える投資の世界では効率が落ちてしまいます。 そのため、可能であれば分配金はない方が良いです。

経費率でみると全世界に投資している VT は米国のみに絞っている VTI,VOO より多くなっています。 しかし、それでも他の ETF から比べると桁違いに少ない経費率となっています。 これはバンガードの運用理念でもあり、現在も経費率を下げるように努力しているようです。 これが、バンガードが最も投資家の事を考え、信頼されている所以でもあります。

ただし、重要視はしないですが、経費率が大きい VT は代わりに分配金利回りが 0.6% も多くなっています。 合計すると VT の方が良さそうです。

チャート

次は一目で理解しやすいチャートを見ていきます。 TradingView というサイトで比較しました。 VOO の最古データである 2010 年 9 月 1 日を 100 としたチャート図になります。

比較チャート

これを見ると約 12 年で VT は 2.2 倍、VTI と VOO は 3.8 から 3.9 倍になっています。

チャートを見ると 12 年間の全体的な動きはどの ETF も変わらないです。 上昇する時、下落する時は同じ様に動いています。 特に VTI と VOO は「ほぼ同じ」と言えます。 VT は上昇、下落の幅に違いがあります。 しかし、動き自体は同じと言えます。

また、リスクという面でも大きな違いはないです。 それについては直近のコロナショックがわかりやすいので例にします。 VTI,VOO は 280 から 220 まで下落しています。 つまり、約 21% の下落です。 そして、VT は 180 から 140 までの下落です。 つまり、約 22% の下落となっています。 VT も米国への依存が強いため下落のリスクについてもほとんど変わらないです。 全世界株に分散しているからと言って下落が少ないというわけでもないです。

ただし、見えないリスクを VTI と VOO は含んでいます。 それは、米国一国へ集中投資しているということです。 所謂、カントリーリスクというものが VTI と VOO は大きいです。 しかし、そうは言ってもここ十数年は米国が圧倒的な成長をしています。 これは事実です。

まとめ

VT,VTI,VOO についてはカントリーリスクをどう捉えるかという点以外に差がないです。 米国一国への集中投資を良しとするか、怖いとするかによって選ぶ ETF が変わります。 現在は米国が強いが、20 年 30 年先は世界がどうなっているかわからないと考えるのであれば VT が良いと思います。 今後、数十年後も米国は世界の先頭を進んでいると考えるのであれば VTI か VOO 好きな方で良いと思います。

私の場合は、全世界インデックス投資をおすすめしています。 そのため、全世界株式へ投資している VT が良いと考えています。 なぜなら、過去の歴史を見ても強者が衰退しなかった歴史は無いからです。 金融の中心もロンドンやアムステルダム、もっと遡れば貨幣の鋳造を行っていた古代中国や中央アジアなど時代により移り変わっています。 人間の本質が変わっていない以上、米国中心である現在の状況も数年後には変わる可能性があります。 それらのリスクを私は大きく捉えているため、米国への集中投資はリスクが高いと考えています。

ただし、最終的に投資は自己責任となります。 そのため、投資を行う本人がリスクとリターンを考え決断していく必要があります。