『敗者のゲーム』再読

正月休みに『敗者のゲーム』を再読しました。 今までに何回も読んでいるため重要なところを再確認する感じで読んでいます。

この本はインデックス投資家が必ず読む三つの本の内の一となります。 他二つは『ウォール街のランダム・ウォーカー』と『インデックス投資は勝者のゲーム』です。

個人的にはインデックス投資の有用性を説いた本の中で最も読みやすいと思います。 ページ数はそれなりにありますが、翻訳も読みやすく、根拠となる数字も理解しやすいように整理されています。 ちなみに、私が感じる最も読み難いのは『インデックス投資は勝者のゲーム』です。

『敗者のゲーム』の内容

大前提として、この本は「市場」を相手にすることを想定しています。 曰く、投資のプロである機関投資家でも市場に勝つことは非常に難しく、まさに「敗者のゲーム」を行っています。 なぜそのようなことになるのか、本書では機関投資家が優秀すぎる為、その総体である「市場」に勝つことができないとしています。 ここでいう「勝つ」とは総合的にという意味です。 市場が様々な思惑の平均である以上、数年単位で見ると勝っていることは多々あります。 しかし、長期間の総合でみるとほとんどの機関投資家が市場に負けているという結果になります。

本書が主張している投資方法は極めてシンプルです。 「低コストなインデックスファンドに投資をする」です。

そして、本書に書かれている内容は次の二点がすべてだと私は解釈しています。 約 250 ページを費やし、この二点を説明しています。

  1. 市場に勝つことは非常に難しい
  2. 複雑化している市場ではコストを抑えることが重要である

はっきり言うと、この二点を理解している場合、本書は読む必要がないです。 読んでも私のように再確認のためにパラパラと捲る程度で十分です

私がこの本を再読して確認したことも上記の二点となります。

どのような状況でも、低コストなインデックスファンドに投資を行うことが最も勝率が高く、効率的です。 これは 2022 年のような下げ相場でも同じです。

そして、本書の「おわりに」に記載されている内容が印象的です。

投資の世界において、優秀で勤勉なプロの数は今後増えることはあっても、減ることはない。投資が 1960 年代のような「勝者のゲーム」になることはまずないだろう。

再読の感想

改めてこの本に書かれている内容は説得力があるように思います。 具体的な数字を用いて根拠を示していること、投資というゲームが過去から現代に至るまでにどのような変化を経たか等を記載しています。 根拠を示している部分は読んでいて眠たくなる部分もありますが、全体的に理解しやすいと思います。 少し疑問に感じたら読むのを止めて、紙に数字を書いて計算してみると納得できると思います。

そして、これらの説得力があるように感じるのはインデックス投資に対する批判で具体的な数字を挙げている例が無いからです。 実際はあるかもしれませんが、私は見つけることができなかったです。 インデックス投資に対する批判や疑問は全てアクティブ投資を行う意義や意味を感情で説明している内容や自分はインデックスより効率良く銘柄を選定できるという自信から来ています。 長期的で考えた時、インデックスに勝つ方法を数字で示した例は見たことがないです。

また、インデックス投資のデメリットを挙げている内容も全ての投資に当てはまるデメリットを指しているだけです。

『敗者のゲーム』では著者でが調べた各種データを示して論理的に市場に勝つことの難しさを示しています。 再現性という点を考えたときに具体的な数字を根拠としている方が説得力は上です。

『敗者のゲーム』を再読しながらインデックス批判の各種記事を見比べて比較して見ました。 本書の方が圧倒的に説得力があると私は感じています。

今後もインデックス投資を続けることを再確認できています。

余談

同じ作者の本でもっと読みやすい本もあります。 本を読み慣れている人であれば 2 時間程度で読破できます。 読み慣れていない人でも比較的スラスラ読めると思います。