ドルコスト平均法についての勉強 #2

前回からの続きです。

今回は具体的な数字を考えて、ドルコスト平均法について勉強をしていきます。 前提として、私はドルコスト平均法を推しています。 そのため、使用する数字もドルコスト平均法が良く見えるようにしていますが、根本的な理論は変わらないようにしているつもりです。

特に現在のように全世界経済が不安定な時こそ、ドルコスト平均法の優秀さが理解できると思います。

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実例の補足記事

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一括投資と積立投資の比較

はじめに、一括投資と積立投資の違いを適当なグラフを作り、確認していきます。

作ったグラフは次のようなものになります。 A は基準価格が常に右肩上がりで推移する商品としています。 B は基準価格が大きめに減っていき、低調に推移していきますが、最終的に元の価格に戻る商品としています。 どちらも始まりは 10,000 としています。 これは一般的な投資商品の基準を元にしているからです。

基準グラフ

さて、このグラフを見ると A の方が圧倒的に良い商品に見えます。 なぜなら、常に右肩上がりで最終的に 10% 程値上がりしているからです。 B の方は大きく下落をして最終的に元の価格に戻ります。 期間を通して価格が元の水準に戻っただけです。

確かに、期間 1 時点で一括投資を行えば利益を上げている A の方が魅力的に見えます。

しかし、ドルコスト平均法を用いた積立投資を行うと違った面が見えてきます。

次に評価額の推移をグラフに示します。 少し色が重なって見難くなっています。

投資手法別の評価額推移

凡例にも書いていますが、各色の意味を書いておきます。

  • 青: A 一括投資
  • 紫: A 積立投資 ( 積立額は 10,000 )
  • 黄: B 一括投資
  • 橙: B 積立投資 ( 積立額は 10,000 )
  • 黒: 積立時の元本

評価額推移のグラフを見ると最終的に最も利益が大きいのは B への積立投資となります。 これは基準のグラフを見ると直感に反する結果になっていると思います。 B のグラフは価格が下落し、最終的に元の価格に戻っているだけです。 そのため、B に投資をしても利益を得られる、まして、常に右上がりの A より利潤が多いとは考え難いと思います。

これは前回の記事で書いた通り、商品の「数量」が大きな影響を与えています。 資産価値 = 投資商品の「価格」x 投資商品の「数量」です。 そのため、10,000 という資産を投じた場合に価格が低ければ必然的に数量を多く買うことができます。 価格が低い時に数量を多く買うと価格が元に戻った際に資産価値が大きく増えます。 これは計算式が掛け算で定義されていることを考えても理解できると思います。

この事が、B の積立投資が最も利益をあげることができた最大の要因です。

ただし、このグラフは最終的に価格が上がるように恣意的に作っています。 当然、価格が下がり続けるグラフになるとドルコスト平均法を用いた積立投資のグラフも下がり続けることになります。 また、A,B のグラフが X 軸に対して線対称になったグラフになる場合、評価額推移のグラフも反転することになります。 つまり、「価格が下がり続ける商品」の場合はドルコスト平均法を用いると一括投資よりリスクが大きくなる可能性もあります。

しかし、基本的に全世界の資産価値は長期的に上昇すると考えられます。 B グラフのように部分を見ると大きく下落している時もありますが、長期的には全世界の資産は増加します。 これは世界恐慌リーマンショック、各国のバブル崩壊を乗り越えてきた歴史が証明しています。

とはいえ、問題は「常に」右肩上がりで上昇するのではなく、上下を繰り返しながら最終的に上昇するということです さらに、どの国や商品、分野が上下するか予想することは非常に困難です。

つまり、B のグラフのように世界の資産価値は推移していくと考えられます。 そうであれば、一括投資を行うよりもドルコスト平均法を用いた積立投資を行う方が利益を上げる可能性が高いと考えられます。 ただし、評価推移グラフで B の積立投資を確認するとほとんどの期間で積立元本を下回っていることが確認できます。 最終的に利益を上げるためには継続すること、元本を下回っていても積立を続ける忍耐が必要だと思います。

グラフの恣意的な箇所

補足として私が作ったグラフの恣意的な箇所を示しておきます。

作ったグラフはドルコスト平均法が一括投資よりも有利に見えるように作っています。 しかし、右肩上がりである A の傾きが大きい場合はドルコスト平均法より収益が大きくなる場合もあります。 さらに、B のグラフは最終的に元の価格に戻るように作りましたが、これが元に戻らず、低調な推移を続ける場合、A のグラフには勝てないです。

つまり、グラフや情報というのは作った人によって意図的に調整できます。 最終的には自分で商品を選び、シュミュレーションして最適な方法を選択することが最も良いと思います。

まとめ

ドルコスト平均法は価格が上下を繰り返し、長期的に上昇する商品に対して最も効果のある投資手法です。 そして、この条件も満たす商品というのは全世界インデックスが最適だと考えられます。 なぜなら、世界の経済成長は歴史的に見ても上昇を続けてるからです。 数々の暴落を乗り越えて成長してきた歴史がそれらを証明しています。

全世界インデックスへの投資をドルコスト平均法で行うことが資産運用の最適解だと考えます。

ただし、これらは私が自分で考えて至った結論です。 人によって考えやリスクのとり方が違うのは当然のことです。 最終的には様々な情報を自分で取捨選択し、判断していくしかないです。