家計調査(貯蓄・負債編)を眺める #2

前回からの続きで、今回は総務省が公表している家計調査の貯蓄・負債編から世帯属性別による結果を眺めていきます。 調査結果は二人以上の世帯についてとなります。

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世帯属性別資料では世帯主の年齢分けとして、40 歳未満、40 代、50 代、60 代、70 以上となっています。

また、項目により五分位階級に分け比較しています。 これは非常にわかりにくいところです。

https://www.stat.go.jp/data/sav/1.html

貯蓄・負債の状況

二人以上の世帯において貯蓄現在高から負債現在高を引いた純貯蓄額の状況となります。

純貯蓄額がプラスになるのは 50 歳以上という結果になっています。 つまり、50 歳未満は純貯蓄額がマイナスとなっています。 これはなかなか厳しい結果だと私は思います。 恐らく原因としては子供の教育費や家の購入などが考えられます。

また、純貯蓄額が最も多い世帯は 60 代となっており、金額は 2,323 万円となっています。 ただし、これは日本社会の特徴だと思います。 60 代は仕事の引退があり、「退職金」という大きな収入が入るためこのような結果になっていると考えられます。 50 代から比べると貯蓄現在高が 700 万以上増加していることから退職金の影響を無視することはできないです。

ちなみに、40 歳未満の状況は負債現在高が貯蓄現在高の約 2 倍あります。 これはちょっと大きすぎるのではないかと思います。 バランスシートの詳細はわかりませんが、もし家の購入が負債の大部分な場合、債務超過状態も考えられます。 なぜなら、家というのは建てた瞬間から価値が減るという特徴を持っているからです。

さらに、40 歳未満世帯は比較されている 2016 年から純貯蓄額のマイナスが増えている傾向です。 また、少しづつですが 40 代のマイナスも増えている傾向となっています。 現在、40 代の人は家計のバランスシートを作成し、資産の棚卸しを行った方が良いかもです。

以上が全体の平均となります。

これを負債保有世帯で見ると更にひどくなります。

40 歳未満の純貯蓄額は -1,611 万円となり、40 代は -867 万円、50 代は 114 万円、60 歳以上は 1,049 万円となります。 つまり、負債保有世帯では 60 代になり、退職金をもらうまで負債超過な状態となっています。 これは家計としてどうなのかと自分は思います。

年収五分位階級別

少し理解しづらいですが、 年収五分位階級別の比較も載っています。

まず、負債現在高は年収が高くなるに従い多くなっています。 まぁ、これはなんとなく直感的に理解できる点だと思います。 ただし、五分位の上位になるにつれ、貯蓄高に対する負債の割合が増えています。 最上位になると負債が貯蓄高の 50% ほどになっています。

また、各分位の貯蓄構成比も記載されています。 明確に違うのは収入の多い階級では定期預金の割合が少なく、有価証券の割合が増えています。 しかし、それでも資産構成における 20% 未満ということで、日本人に投資が根付いていないことがわかります。 投資よりも保険の方が多い状態です。

ちなみに、持ち家率は全ての階級で 80% を超えています。 これにより、負債の大部分は「家」の購入であると考えられます。

さらに直感的な事として、勤労者世帯の貯蓄現在高は年収が高くなるに従い多くなっています。

最後に、貯蓄現在高を五分位階級別に見ると貯蓄が多い階級は有価証券の割合が多いこと、通貨性預貯金の割合が少ないことがわかります。 多いと言っても 20% 程です。 しかし、貯蓄が少ない階級と比べ有価証券割合が 10 倍ほど違うため無視できない数字だと思います。

つづく

ひと通り報告を眺めたので次回は内容のまとめと感想を書いていきます。 次回につづきます。

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