総務省が定期的に公表している家計調査の貯蓄・負債編が 5 月 10 日に更新されています。
今回はそれの 2021 年平均結果 (二人以上の世帯) を見ていきます。
https://www.stat.go.jp/data/sav/1.html
貯蓄
2021 年の一世帯当たり貯蓄額 (平均値) は 1,880 万円となっているようです。 これは 3 年連続の増加となっており、比較可能な 2002 年以降で最多らしいです。 この平均値は貯蓄現在高がゼロの世帯を含めています。
そして、貯蓄保有世帯の中央値は 1,104 万円となっているようです。 この値の注意点として、貯蓄高がゼロの世帯は除かれています。 あくまで、貯蓄高がある人からの中央値です。 貯蓄ゼロ世帯を含めた中央値は 1,026 万円となっています。
これを勤労者世帯 (二人以上の世帯に占める割合 54.9%) の場合は平均値 1,454 万円、貯蓄保有世帯の中央値 833 万円となります。 貯蓄ゼロ世帯を含めた中央値は 784 万円となっています。 勤労者世帯を見ても報告書で提示されている 2012 年からの表では最高額となっています。
しかし、世帯分布を確認すると 67.6% の世帯が平均値を下回っている結果となっています。
これは貯蓄額の多い人が平均を吊り上げているということで、差が広がっていると捉えることができます。
貯蓄の種類内訳については保険や定期性預貯金が減り、有価証券が増加しています。 具体的には下記表のようになっています。
種類 | 割合 (%) |
---|---|
通貨性預貯金 | 31.1 |
定期性預貯金 | 32.7 |
生命保険など | 19.0 |
有価証券 | 15.7 |
金融機関外 | 1.5 |
有価証券が近年では増加している方ですが、相変わらず預貯金の割合が 60% 以上と非常に多くなっています。 預貯金に関しては定期性預貯金の割合が減少し、通貨性預貯金の割合が増加する傾向となっています。 これは金利の旨味が全くないためだと予想できます。
これを勤労者世帯について見ると下記表のようになります。
種類 | 割合 (%) |
---|---|
通貨性預貯金 | 35.8 |
定期性預貯金 | 27.4 |
生命保険など | 20.2 |
有価証券 | 13.6 |
金融機関外 | 3.0 |
勤労者世帯でみると有価証券が減少し、生命保険などが多めになっています。 預貯金が 60% 以上となっているのは同様です。
負債
2021 年の一世帯当たり負債額 (平均値) は 567 万円となっています。 2020 年から比べると 0.9% の減少となっているようです。 この平均値は負債現在高がゼロの世帯を含めています。
負債保有世帯に限って見ると負債現在高 (平均値) は 1,505 万円で、平均値を下回る世帯が 55.1% となっています。 これも貯蓄同様、若干ですが、負債の多い人が負債額の平均値を吊り上げている状態です。 ちなみに、中央値は 1,233 万円となっています。 この値は 2012 年から上昇傾向となっています。
そして、負債保有世帯は二人以上世帯の 37.7% を占めています。 これは前年に比べ、0.8 ポイントの減少となっており、負債保有世帯は減少しています。
また、調査報告内で提示されている表を見ると 2012 年から負債高が上昇傾向であることが読み取れます。
つまり、負債保有世帯の人数は減っているが負債高は上昇傾向となっている状態です。
勤労者世帯について見ると負債平均値は 856 万円となっています。 前年から比べると 0.6% の上昇となっており、勤労者世帯の負債保有割合が増えていることがわかります。 また、勤労者世帯の負債保有割合は 53.4% となり、前年に比べ 0.9 ポイントの減少となっています。
負債保有世帯についてまとめると、保有世帯の人数は減っているが負債額は上昇傾向となっています。 特に勤労世帯の負債金額が増加しています。 負債保有割合は減少している為、これについても差が広がっていると捉えることができます。
つづく
次回は世帯の属性別による比較を確認していきます。 長くなりそうなので次回に続きます。