「いま選ぶべきアクティブ投信この8本!」を読んで

私はインデックス積立が結果的に最強だと信じています。 しかし、盲目的に信仰するのはよくないのでアクティブ側の意見も聞きたいと思いこの本を読んでみました。

いま選ぶべきアクティブ投信この8本!

いま選ぶべきアクティブ投信この8本!

  • 作者:中野 晴啓
  • 発売日: 2019/04/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

概要

セゾン投信の社長である著者がインデックスファンドが流行っている昨今の状態に危機感を覚え、 インデックス投信の問題点とアクティブファンドを選ぶ意味、良いアクティブファンドの選定方法などを 書いた内容となります。 最後にはおすすめのアクティブファンドを8本、簡単な説明付きで勧めています。

感想

正直に言うと全体的に説明不足だと思います。 アクティブファンドを買う意味や意義の説明にこだわりすぎているあまり、顧客である我々には関係のない 内容を訴えたりしています。
(コスト下げ競争の弊害やアクティブファンドのコストは高くないなど) また、インデックスと比較した具体的なデータ等が示されておらず、説得力に欠けているように思います。
さらに、一部ですがミスリードとも取れる部分があり、ちょっとどうだろうと思いますね。

手数料を取るために懇意的なアクティブファンドが多いという意見には賛同します。 また、優秀なアクティブファンドがあることも同意します。 しかし、その優秀なアクティブファンドを確実に選べるかというのは別の話です。

コスト下げ競争

著者は日本のインデックスファンドのコスト引き下げ競争を「悪乗り」と評し将来を危惧しています。 また、米国バンガード社がコストを下げれる理由は運用資産総額が莫大な規模だから可能であると言っています。 しかし、それであれば日本のファンドも運用規模に合わせたコスト引き下げは可能なのではないかと思います。バンガード社までとはいかなくてもバンガード社の歴史を参考にコストの下げは十分検討できると思います。真似されるのは先行者の宿命みたいなものだと私は思っていますし...
さらに、ローコスト化により信託会社の赤字がかさみ、繰上償還となる心配をしていますが、 そうなれば別のインデックスに乗り換えるだけです。冷たいと思うかもしれませんが、投資の世界は結果が全てだと私は思っているので仕方ないです。

著者のミスリード

インデックス派の主張として「アクティブファンドは長期的にインデックスファンドに勝てない」と記載されていますが、重要な部分である「大半の」が省略されています。 正しくは「大半のアクティブファンドは長期的にインデックスファンドに勝てない」です。 (ちなみに著者自身もこのことは認めているようです。)
すべてのアクティブファンドに勝てると言っているわけではありません。 卓越したアクティブファンドがあることはインデックス派の聖典である「敗者のゲーム」内でも書かれています。

ファンドの選定

アクティブ派とインデックス派が最も対立する部分です。 本書の主張は運用方針や運用哲学、自分自身が共感できるかどうかなど気持ちの部分を評価するよう勧めています。このあたりがしっかりしているファンドは運用成績がマイナスになっても保有し続けるとよいと言っています。

インデックス派の主張としては一部の卓越したアクティブファンドを選ぶのは無理であり、研究のための時間もない。そのためインデックスを買っておけば大半のアクティブファンドに勝てるのでそれで十分。

私はインデックス派の人間なのでインデックス派の主張を押します。 この本の著者や投資一本で生活している人と違い一般投資家は会社勤めをしていたり、他に好きな趣味があったりと投資に時間をかけたくない人が多いように思っています。 せっかくの休みは趣味に費やしたり、ゆっくりしたいので投資の勉強、研究などをしたくないのです。 インデックスに投資すると全く勉強をしなくても大半(8割とか言われています)のアクティブファンドに勝つことができます。それで十分満足なのです。

ちょっとした疑問

この本のchapter2-3で著者はファンドマネージャーの権限はそれほど大きくないと書いています。 大まかな運用方針は運用会議などで決められ、その方針に従ってファンドマネージャーが運用計画書を策定、最後に運用部門部長が内容を確認し承認すると言っています。 そして、著者は運用方針や哲学を重視するべきだと本書を通じて説明しています。 ということはファンドマネージャーはそこまで重要じゃないということを言いたいのだと思いますが、 一方でchapter3-8ではファンドマネージャーは顔と名前をだして説明責任を果たせと言っています。
......???
ファンドマネージャーが出ようが出まいが運用方針が重要であり、運用方針は運用会議で決められるので報告書などで確認できると思います。
権限は大きくないのに責任を負わされるファンドマネージャって可哀想な役回りですね。

長期投資に適したアクティブファンド8選

この部分はこの本の重要な部分だと思うので割愛します。
ほとんどが日本株ファンドであり、ほとんどがS&P500に負けていました。
円建てで買うことのできるS&P500の投資信託が3年間のデータしか探せなかったので3年で比較してます。

まとめ

アクティブファンドを買う意味や意義、運用方針に重点を置くなど気持ち的な部分を訴えている本です。 昨今の頭が良い方はデータを非常に重視するので、本書の主張では厳しいのではないかなと思います。 わたしはこの本を読んで、結局、インデックスファンドが安定していて安全、有利だと感じました。 良くも悪くも投信運用会社側の人の主張であり、一般の個人投資家の気持ちをわかっていないように思います。
ちなみに私の気持ち

  • 投資の勉強とか面倒なのでしたくない
  • 運用成績とか方針とか比較するのめんどくさい
  • 貸借対照表で会社の分析とかしたくない、隠されたらわからんし
  • でも儲けたい ←重要
  • 何も考えずに勝てるインデックス最強

です。