今回は"なぜ長期投資がうまく行かないか"を自分なりに考えていきます。
はじめに
投資の理論で言えば全世界に分散したインデックスファンドを長期で運用すると年利 5 〜 7% の利益を得ることができます。 これは投資における過去データから示された結果です。 理論上は大暴落と言われた世界恐慌やリーマンショックを経ても長期的に見ると利益を得られるということです。
しかし、現実は投資を継続できない人が多々存在します。 少しネットやツイッターで検索をかけると投資を辞めた人の話は溢れるほど出てきます。 特に、最近では米国集中投資をしていた人で損失に耐え切れず辞めてしまう人がいるようです。
理論上、損失を抱えている米国株も 15 年以上持ち続ければ利益となる可能性があります。 確か、世界恐慌の時に株価が戻るまで 14 年くらいだったと記憶していますが、違っているかもしません。 また、リーマンショック時も 5 年ほどで持ち直したと記憶しています。
なぜ、このようなことになるのか考えます。
プロスペクト理論
損失に耐えることができない理由として行動経済学のプロスペクト理論が良く用いられます。 日本語にすると"Prospect"は展望とか見通しという意味だそうです。 企業業績の見通しとかそのような意味で使われているようです。
この理論は要するに"人は損失に対する耐性が低い"的なことを説いています。 損失回避性と言うらしいです。 例としてじゃんけんで勝ったら 100 万円貰えて、負けたら 100 万円失うゲームをやるかやらないかというものがあります。 このゲームは"やらない"を選択する人が圧倒的に多いそうです。 その他の例も調べるといっぱい出てきます。 ちなみに、私も絶対にやりたくないです。
具体的な数字として、損失は利益よりも 2 〜 2.5 倍の痛みがあるそうです。
この理論は人の行動としてなかなか面白いです。
リスクの軽視
人は投資を始める際にリスクを軽視している傾向があると思います。 これはある意味当然で、投資を始める際に"損"を前提にするわけないです。 利益を上げるために投資をするはずだからです。
精神的な軽視
精神的なリスクの軽視として投資ブームが考えられます。
投資がブームになる時期は必ず株価や経済が上昇している時です。 直近で言えば、コロナショックで暴落後の V 字回復時に大きな米国株ブームが来ています。 また、バブル期は当然として、ドットコムバブル期も当てはまると思います。
反対に、景気が落ち込んでいるときは投資が話題になることなど無いです。 バブル崩壊後やリーマンショック時等です。 特に私の記憶に新しいリーマンショック時は誰も投資の話などしていなかったです。 余談ですが、この時にそれでも米国や全世界株を買えと言っていた人は本物だと思います。
投資という行動が安易に選択される局面は誰が行っても利益が上がっている又は上がると思われる時です。 損失リスクが比較的低いためリスクという点を非常に軽視してしまいます。
何度も例に出しますが、昨今の米国株ブームが最もわかりやすいです。
そして、経済の状況が変わり、利益が損失に変わった際に上述した理論で耐えることが出来ずに投資をやめてしまいます。 今まさに米国株の投資をやめたという人などが典型例だと思います。
ポートフォリオ的な軽視
先に書いたように投資がブームになる時は誰が行っても利益を上げる可能性が高いときです。 この時は正直言うと何も考えなくても利益が出ます。 2020 年頃は正にそのような年だったと思います。
このような時はポートフォリオも割と適当なことが多いです。 アセットアロケーションと言われる資産配分がリスク商品に偏っていることがほとんどだと思います。 例として資産が株式一辺倒となっていたり、不動産一辺倒になっている状態などです。
現代において最も効率的だと思われる"現代ポートフォリオ理論"も無視されています。 このポートフォリオ理論は一読することを勧めます。 数式など難解な部分は飛ばして、要約だけでも理解しておくことが長期投資において非常に重要です。
そのようなポートフォリオは当人が思っている以上にリスクが高いです。 しかも、そのリスクの高さを投資している本人が理解していないということが問題です。 というか、ポートフォリオという言葉も知らない人が投資をしていると聞いた時は「大丈夫か?」と思いました。
結局は投資を始める段階から"リスクを軽視"しているということです。
つづく
長くなったので続きます。 次は"つみたて NISA"の危険性について思っていることを書いてみます。
次回