前回の続きです。
2000 年代初頭から中国に投資をすれば大きく稼げる事ができたという説が本当か確認していきます。
株価推移
前回の最期に提示した株価の推移をもう一度表示します。
価格単位を米ドルで統一しています。 余談ですが、このようなグラフを作る際に単位を揃えない場合をよく見ますが、比較する単位は必ず揃えないと比較できないので注意です。
そして、米ドルで統一した為、私が使っている tradingview では 2007 年ごろからのデータしか取得できない状態となります。 そのため、株価の推移グラフはリーマンショック前の上昇ピークである 2007 年 10 月 1 日とリーマンショック後の下落ピーク時の 2008 年 10 月 1 日のグラフを作成します。 日本の指数は TOPIX を使用します。
上海総合指数は 000001
深セン総合指数は 399001
香港ハンセン指数は HSI
となります。
2007 年 10 月 1 日を 100 とした比較グラフ
2008 年 10 月 1 日を 100 とした比較グラフ
上海総合指数との比較
上海総合指数と TOPIX を比較します。
リーマンショック前の上昇ピーク時から比較すると TOPIX が上海総合指数を大きく離しています。 と言うか、世界基軸通貨の米ドルで価値を測ると上海総合指数はリーマンショック前のピークを超えていないです。
上海総合指数は中国人の為の指数ですが、約 14 年間もの間停滞しています。
リーマンショック後の下落ピークである 2008 年のグラフでも TOPIX とほとんど変わらない結果となっています。 2015 年に一次急上昇し、その後に急下降しています。 これは確か第三次 AI ブームが原因だったと記憶しています。 (違っているかも......)
何れにせよ、上海総合指数は過去 14 年の期間では TOPIX より優れているとは考え難いです。
深セン総合指数
深セン総合指数は過去 14 年間では結果だけ見ると非常に優れています。 リーマンショック前、後の両方で TOPIX を大きく引き離しています。 この頃に深センへ投資を行うことができればそこそこの結果を残すことが出来たと想像できます。
しかし、途中経過を見るとまるでジェットコースターのように激しい上昇を下降を繰り返しています。 仮に深センに投資を行ったとして、この上下動を耐えることのできる人が存在するとは思えないです。 しかも、2015 年の急激な上昇以降はピークを超えることが出来ていないです。 近年は AI や IT ブームにより深センに注目が集まっていたと思うのでピークを超えていないというのは意外です。
結果として深セン総合指数は TOPIX より優れた成績ですが、リスクも大きいです。
香港ハンセン指数
香港ハンセン指数と TOPIX の比較です。
香港ハンセン指数はリーマンショック前後から見て TOPIX に負けています。 香港ハンセン指数と言えばテンセントやアリババが組み込まれている指数です。 そのため、この結果は少々意外だと思います。
しかも、上海総合指数同様にリーマンショック前のピークを超えることが出来ていない状態です。 上海総合指数と違い、外国へも広く公開されている自由市場の香港でこのような状況です。
香港ハンセン指数は上海同様に TOPIX に及んでいないです。
感想
全体の感想として、中国が成長しているのではなく、深センが一時的に上昇しただけだと思います。 その深センも 2015 年のピークを未だに超えることが出来ていないため、本当に中国は成長しているのかと疑問を持っています。
深セン総合指数のピークである 2015 年 5 月 1 日を 100 とすると TOPIX 以外の指数はマイナスとなります。 それも、-25% 以上という結果です。 どう見ても安定的に成長をしているとは言えないです。
ちなみに、どの期間を切り取っても安定して右肩上がりに上昇しているのは S&P500 だけです。
おわり
一時的なブーム、流行に乗り、どこどこの国へ投資をすれば儲かるという井戸端会議を聞きますが、実際にデータを見るとそうでもないことはよくあります。 今回、あまり時間は掛けていないですが中国と言う国の指数を調べても同様のことがわかりました。
結局、どこの国が真に成長しているのか、個人が投資するに値するのかというのは誰もわからないということです。
今回、中国指数を見ることによって自分の行っている全世界インデックス投資が最も良いと再確認できたと思います。 どこの国がどの瞬間に成長しているか分析することは非常に困難です。 であれば、全世界のインデックスを購入し、全世界成長の平均を取る、これが個人の資産運用では最も簡単で確実な戦略です。 行き着く結論はいつも通りです。
日経平均との比較を補足しておきます。