毎月分配型投資信託を買って失敗した話

4年ほど前に毎月分配型投資信託をNISAで120万円も買って、失敗しました。

毎月分配型投資信託とは

1ヶ月ごとに決算を行い、収益の一部を分配金として毎月受け取れる投資信託です。
運用を続けながら、運用の成果を受け取りたいという投資家に向けた商品となります。
しかし、分配金の仕組みをしっかり理解しないと損をしてしまう可能性があります。

分配金の仕組み

投資信託の分配金は商品の純資産から支払われます。
つまり、分配金が支払われることによりその金額分だけ商品の基準価額が減少します。
この部分が最重要となります。純資産から分配金を出しているのです。

普通分配金

純資産から分配金を出しているということは利益を上げている月は分配金を出しても基準価額が下がりません。
このように基準価額から上回る部分からの分配金を普通分配金と言います。
※ここで言う基準価額は商品を買った金額のことです。
普通分配金は投資信託の運用利益から分配されるので課税対象です。

特別分配金

利益が出ていない月の分配金はどうなるかというと純資産を取り崩して分配します。
当然、純資産を取り崩しているので基準価額が下がります。
このような純資産を取り崩して払う分配金を特別分配金と言います。
特別分配金は投資元本の払い戻しに該当するため非課税となります。
ようするに自分をお金を投資信託経由で自分に払っているようなものです。

なにが問題か?

毎月分配型投資信託の大きな問題点は分配金が「一定額」という部分だと思います。
分配金を支払う分だけ毎月利益を出していれば問題ありません。
しかし、投資の世界で常に利益を出し続けることは非常に困難です。
一度でも特別分配金を出してしまうとその後の運用に大きな影響がでます。


基準価額を10,000円で買い、毎月分配額を100円(1%)の架空投資信託で考えます。
1月は1%の利益を出して基準価額が10,100円に値上がりしたとします。
分配額は100円なので普通分配金を払い、1月末の基準価額は10,000円となります。
この運用は全く問題ありません。きちんと利益を上げ分配しています。
基準価額は±0円、分配金+100円なので、合計100円の利益を得ました。

2月は運用があまり上手くいかず、基準価額が10,000円で停滞しました。
利益が上がっていないので特別分配金で元本を取り崩して購入者へ払ったとします。
2月末の基準価額は100円減って9,900円になりました。
基準価額は-100円、分配金合計額は+200円なので、合計100円の利益。

3月は頑張って1月と同等の1%利益を上げたとします。
1%の利益なので基準価額は9,900円×1.01=9999円となります。
基準価額は-1円、分配金合計額は300円なので、合計299円の利益となります。

利益が順調に増えてるよう見えますが、ここで1月と3月の個別利益を考えます。
1月は1%の利益で個別利益が100円です。
3月は1%の利益で個別利益が基準価額-1円、分配金が100円なので99円となります。
同じ1%の利益を上げているのに実質受け取った利益が減っています。

なぜかというと基準価額が減少し元の価額に戻るためには減った以上の利益率が必要となるからです。
またまた例(わかりやすくするために大きい数字を使います)
10,000円が20%減って、8,000円になったとします。
この8,000円を運用して10,000円に戻すためには10,000/8,000=1.25なので25%の利益が必要となります。

要するに基準価額が減ると一定額で設定されている分配金の重みが徐々に増していきます。
これが毎月分配型投資信託の大きな問題です。
もともと、毎月一定以上の利益を上げていかなければ基準価額の維持を見込めません。
そして、投資の世界で毎月利益を出し続けるのが如何に困難かはわかると思います。
分配金を下げればいいのでは?と私も思っていましたが、結局、分配金を出すということはそれ以上に利益を上げ続ける必要があります。
はっきり言って、よほど上手に設計しない限り不可能です。
また、上では考慮しませんでしたが、信託報酬も毎月分配型は高いです、1%は軽く超えてきます。
基準価額に対する毎月分配金の割合+信託報酬割合(月)の利益を上げる必要があります。
無理です、長期になればなるほど無理です。

体験

私は4年間、120万円で買った毎月分配型投資信託をNISAで持っていました。
分配金も98%は特別分配金でNISAで持っていなくても非課税になる分配金でした。
NISAで買ったのは完全に無駄。
SBI証券のトータルリターンを見ると-0.33%、4年も持っていて損しています。
同じ時に例えばSPDRのS&P500を買っていれば約50%以上の利益が出ています。
※昔のチャートを見ての単純計算です。
120万買ったとすると180万円になっています。
毎月分配型投資信託を買うのがどれだけ馬鹿らしいか。
(わかってからも優柔不断のせいで、売れずに持ち続けていましたが...)
もし、これから買おうと思っている人がいれば全力で止めます。

教訓

株式指数に連動するインデックスファンドの投資信託を買うのが一番。
それ以外を買う場合はよく勉強し、商品の中身、運用が現実的かよく考えること。

余談

当時の私が買った毎月分配型投資信託SBI証券投資信託ランキングで上位でした。
しかし、今見るとSBI証券投資信託ランキングはインデックスファンドが上位を占めています。
今、投資信託を買う人が以前買っていた人より賢くなっている証拠ですね。
過去には戻れないので、深く反省して賢明な資産運用を行い、今の人達に負けないようにしたいです。