私の周辺でyahooニュースの投資関係に関する記事へのつっこみが多数ありました。
気になったので私も同記事を確認してみたところ、少々疑問が残る内容だったので疑問点を書いてみます。
その記事は以下の2つです。
大まかな内容としてはお金持ちは「つみたてNISA」を使わないし、「つみたてNISA」には問題があるよという内容です。
なんか調べてみるとツイッターとかでもけっこう意見が出てますね。
はじめに
私個人としては「つみたてNISA」は非常に優秀な制度だと思っています。投資経験がない人が投資を始めるためにはリスクも小さく最善の方法です。「つみたてNISA」から始めて投資に使えるお金が年間40万を超えてくると「一般NISA」に移行し、年間120万を超える分は特定口座で運用する方法がよいと考えています。
よく勘違いしている人がいますが、一般NISAもロールオーバーすれば繰り越すことができます。保有資産が120万を超えていても全額ロールオーバーできます。つまり、利益を翌年に繰り越すことができます。なぜか一般NISAは5年で強制的に終わると勘違いしている人が一定数いますがそんなことないです。制度が終わるまで繰り越せます。
第一の疑問
記事『お金持ちが「つみたてNISA」を使わない本当の理由』内の「つみたてNISA(非課税)と一括投資(課税あり)の比較」において
つみたてNISAの弱点は後述しますが、そもそも利益が出ることを前提となっているように見えることが気になっています。
とありますが、利益が出ることを前提としないのであれば投資をしないのが正解では?
投資をする以上は利益が出ることを想定するのは当然で利益が出ないのを想定するのであれば一括投資もするべきではないと思いますが......
なんか言いたいことがよくわかりません。
つみたてNISAも別に途中で売却とか自由に出来るので......
私の頭では内容が理解できなかったです。
第二の疑問
記事『お金持ちが「つみたてNISA」を使わない本当の理由』において
20年後にリーマン・ショック級の値下がり、コロナショック級の値下がりがあるかも知れません。
と、取り崩し時の不安を煽っていますが、日本は「バブル崩壊」を経験しています。
1980年代の後半に一括投資をした場合は30年経った今でも含み損となっていると思います。一括投資の不利な点としてここは無視していいのでしょうか?
(試算はしていませんが、感覚的にこの間に積立投資をした人は含み益になっていると思います。)
じゃあ、今の日本経済がバブルじゃないって何をもって言えるの?という疑問が私には残ります。現実問題として、今の経済はバブルだと指摘している人もいます。
未来のことはわからないのです。
第三の疑問
両方の記事で投資の試算をしていますが、800万を投資する場合に一括と「つみたてNISA」の比較しかないです。「一般NISA」を使い5年で600万、残り200万を特定口座で運用した場合の試算がないのは不自然だと思います。
さらに、一括と積立では取っているリスクが違い過ぎるので比較するのであれば「つみたてNISA」で使いきれなかった残金を特定口座で運用するシュミュレーションをするべきとも思います。
年 | つみたてNISA | 特定口座 |
---|---|---|
1年目 | 40万 | 760万 |
2年目 | 80万 | 720万 |
3年目 | 120万 | 680万 |
... | ... | ... |
みたいな感じで特定口座の残高を「つみたてNISA」へ移していく比較が欲しい。
第四の疑問
記事『iDeCoもNISAも!「つみたて投資の不都合な真実!」』内で
時間分散は大した効果がないという楽天証券の記事もあります。
という引用や一括投資の方がリターンが高かったと指摘しています。これに関しては資本主義において株価は常に右肩上がりになるはずなので納得です。
しかし、これらの結果は投資期間の入口と出口しか見ていません。途中の状態を全て無視しているのが問題だと思います。例えば、リーマン・ショック時のような資産が半分になった状況で耐えることができる人は果たして何人ぐらい存在するのでしょうか?
特にFPに相談するくらいの人は投資経験も少ないと思います。そのような人が資産の半分 (今回の場合は400万) が無くなって正気を保てるとは思いません。10%の下落でも80万が消えるわけです。投資経験の浅い人が将来的に取り返せるからと保有し続けることができるのでしょうか?
第五の疑問
これが一番悪質だと思うのですが、記事『iDeCoもNISAも!「つみたて投資の不都合な真実!」』の冒頭で
800万円なんて投資できないから比較すること自体がナンセンス
と指摘された反論として
ネタ元は筆者のお客様の実例です
と答えています。しかし、結論では
一般の人たちが情報格差を利用されて機会損失となっている
と一般化しています。一部の事例がいつの間にか一般化されているのです。
では、800万も一括投資できる一般人ってどれくらいいるのか調べてみました。「おかねのコンパス」というサイトがわかりやすかったので載せておきます。
2019年のデータですが、2年前なのでそこまでの大差はないと思います。
800万も一括投資に使えるということは金融資産1000万以上は持っている人と考えられます。各年代の「中央値」をみると一発で理解できます。そんな「一般人」は存在しないです。大多数にとって不可能なことを一般の人たちと結論づけるのは問題があると思います。
まとめ
長くなったので一番悪質だと思うことについて書きますが、1つの特異な例から話を抽象化して最終的に一般化する典型的な誘導記事だと思います。そもそも、最初の記事で著者自身が書いています。
800万円も一括で投資できない人はコツコツ積立投資を選ぶしか選択肢がありません。
一般の人はコツコツ積立しましょう。
私は全世界インデックスへ長期積立投資するのが最善だと信じています。
余談
そもそも自分のお金のことを真剣に考えてくれるのは自分だけなのでファイナンシャルプランナーとか頼らなくていいと思います。
今はyoutubeやtwitterなどで無料で有益な投資を推奨してくれている人が沢山います。投資やお金のことを学ぶのにお金を使う必要はない時代です。紹介している人が開催しているメルマガとかオンラインサロンも入会する必要はありません。無料で発信されている情報だけで十分です。
(本は個人的に好きなので読んだ方が良いと推奨しておきます。)