米国の利上げについて #1

米国の中央銀行にあたる FRB の議長が今月の会合で利上げを行う方針を示したようです。 現在、世界全体が記録的なインフレ状態となっており、政策金利の利上げはそれを抑制するための方策となります。 ただし、当初予想されていた 0.5% の大幅な利上げではなく、0.25% の上げ幅に留めるようです。 利上げ回数としては 3 回から 5 回ほど行われるのではないかと予想されていますが、これは世界の経済状況を見極めながら判断していくと思います。

今回は、FRB の利上げについて勉強していこうと思います。

FRB とは

FRB は連邦準備精度理事会と呼ばれる米国の中央銀行制度を構成する機関であり、その最高意思決定機関でもあります。 日本で言えば日本銀行 (中央銀行) の政策委員会にあたります。 そして、FRB は米国の経済を正常に保ち、活性化させることを目的にしている機関です。 主な活動として、連邦公開市場委員会 (FOMC) の開催などがあります。

米国は世界最大の成熟した資本主義国であり、現世界経済の覇者でもあります。 世界の GDP を見ても米国は約 25% を占めており、圧倒的な 1 位に君臨しています。 単体の GDP で対抗できるのは中国だけと思われますが、それでも 10% 弱の差があります。 ちなみに日本は世界第 3 位で割合は 6% ほどです。

FRB というのはその米国における経済の方向性を司っており、動向が世界中で注目されている機関です。

利上げとは

利上げというのは中央銀行政策金利を引き上げることです。 政策金利というのは各国が金融政策を行う時に調整される金利のことです。 この政策金利を調整することにより、経済のインフレ、デフレを調整します。

利上げを行うと一般的には景気の過熱具合 (インフレ) を抑える事ができると言われています。 ただし、調整を誤るとデフレ状態に陥ってしまうなど非常に精細な判断が求められます。 また、過去には期待される効果と真逆の状態になってしまったこともあります。 経済は生き物という比喩があります。 全世界の人の行動というものは予測不可能なため、最終的にどうなるかはやってみないとわからないです。

利上げによる影響

米国の利上げによる一般的な影響を考えます。

利上げを行うことにより米国の金利が高くなります。 金利が高くなると言うことは米ドルで資産を保有しようと考える人が増え、米ドルの人気が高まり、価値が上昇します。 そして、「物」で資産を持つのではなく、米ドルで資産を持とうと考える人が増えます。 そうすると、株等を米ドルに変えることになり、それに伴い株価が下落します。 さらに、企業等がお金を借りようと思っても金利が上がっている為、積極的に借り入れすることを躊躇います。 結果的に市中に流れるお金が抑制され、インフレ率が低下していきます。

利上げなどについてわかりにくい場合はマイナスから考えるとわかりやすいと思います。 例えば、銀行の金利が -1% の場合、預金を行うと毎年 1% 分の金利を支払う必要があります。 このような状態では預金するよりも株や価値のある「物」で資産を保有する方が得です。 これが、-1% から 0% に金利が上がれば価値の変動が少ない預金で持つ方が良いと考える人が出てきます。 なぜなら、今までは預金を行うと額が減っていましたが、それが減らなくなったからです。 次に 0% から 1% に金利が上がれば預金をすると額が増えるようになります。 そうなると預金で資産を保有しようという人が更に増えると考えられます。 これらが金利を上げる時に期待される効果です。

一般的に期待される効果を簡単に表にしました。

利上げ 利下げ
米ドル ドル高 ドル安
日本円 円安 円高
株価 下落 上昇
経済効果 抑制 活性

近年は逆の効果になっている?

経済の本や教科書を読むと上記のようになっているのですが、近年は逆の動きも多々見られるようです。 つまり、利上げを行うとドル安円高になっているということです。

これらは情報の拡散が極めて速い現代の弊害だと私は考えています。 一般的に理論を完成させるためにはは長い時間がかかります。 しかし、現代情報技術の進化は異常なほど高速で進み、異常なほど効率化が行われています。 そのため、利上げが行われるのであればその前に資産を米ドルに変えておく、それを見越して今のうちに株などを買っておく...etc などという行動をコンピュータを使うことにより 1 秒以下の超高速スピードで行っています。

経済政策というのはどうしても事前にどのように行うか発表する必要があります。 発表するだけで思惑や一般論を見越した取引が超高速で超大量に行われます。 今までの理論が通じなくなっても仕方ないことかもしれません。

続く

少し長くなったため、次回に続きます。

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