TOPIXが長期で見るとS&P500に勝っている話

ネットでよく見る米国株と日本株のチャートに疑問を感じたので円建てチャートを作成し比較しました。また、できるだけ長期のデータも収集し比較しています。最終的に米国集中投資に疑問をもつ結論に至ったので内容をまとめます。

以前の書いた記事を元にもう少し、データを集めた内容になります。

money.nyaomin.info

S&P500とTOPIX比較チャートの問題点

はじめに、S&P500とTOPIXを比較するときによく見るチャートを記載します。

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S&P500米ドル建て TOPIX円建て

1989年1月2日を「100」としたチャートになります。 S&P500の長期として「SPX」で比較しています。「SPX」の理由は簡単に長期のチャートが手に入ったからです。多分、他の商品でも似たようなものになると思います。

S&P500は右肩上がりで成長しており、TOPIXはほぼ横ばいとなっています。このチャートを表示して米国は長期で成長しているが、日本株は「長期間」で見ても全く成長していない。よって日本株に投資するぐらいであれば、米国一国に集中投資した方が効率がよい。と言う意見が多く見られます。

しかし、このチャートは「単位」が違うという問題を含んでいます。具体的に、S&P500は「米ドル」建て、TOPIXは「日本円」建ての対数になっています。比較、検討する上で検証対象の「単位」が違うというのは致命的です。今回の場合で言えば、「為替」の影響が全く考慮されていません。そのため、このチャートを使って比較するべきではないのです。

S&P500と日本株の円建て比較

よくネットで比較されているチャートは問題があると思うので自分でS&P500の円建てチャートを作り、「日経平均」と比較しました。期間は上の表と同じく1989年1月2日を「100」としたチャートになります。注意点として、S&P500の各月の始値ドル円為替の各月の始値を掛けた数字を利用しいます。そのため、各数値には若干の誤差があると思います。このあたりは無料で収集した情報となるため、仕方ない範囲だと思って貰えれば助かります。

比較が「日経平均」と変わっていますが、これはTOPIXの月足データが手に入らなかったためです。後に出てきますが、TOPIXの「年足」は手に入りましたが、月足データを無料で見つけることができませんでした。有料だと手に入るのですが、無料情報に拘っているので断念して簡単に手に入った「日経平均」で比較しています。

円建てチャートはこのような感じになります。

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S&P500円建て 日経平均円建て

パッと見はドル建てとほとんど変わらないように見えますが、S&P500の上昇が1200強と若干弱くなっています。このチャートから1989年からはS&P500の方が成長していると改めて読み取ることが出来ます。

しかし、1990年前後は日本のバブル絶頂期となり比較基準としてどうなの?と思います。少し調べると日本のバブル景気がどれほど異常であるかわかると思うので詳しく書きませんが、東京の地価だけで、米国と言う「国」が買えるほどの価値があったようです。個人的には比喩だと思っていますが、どう考えても異常な時代を基準として認めたくないです。

もっと長期のチャート

米国集中投資派は「長期」で考えると米国一択と主張しているので「長期」で調べてみました。具体的にはTOPIXが算出を開始した1968年1月を「100」としたチャートを作ろうと思いましたが、今度はS&P500のデータが1971年までしか手に入りませんでした。また、TOPIXも年足しかデータがないので、1971年を「100」として2020年までの年足チャートとなります。S&P500は上と同様の方法で円換算しているので、若干のズレは許してください。

チャートはこんな感じになりました。

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S&P500円建て TOPIX円建て

このチャートを見るとTOPIXとS&P500が入れ替わり、S&P500はTOPIXを一度も上回っていません。1971年からであればバブル崩壊を経験していてもTOPIXの方が勝っています。近年はS&P500が追いついて来ているので、あと数年で抜かれそうですが、2020年時点ではTOPIXの方が上です。

この結果を見ると「長期的」に米国を買っていれば良いという主張に疑問を感じます。なぜなら、「長期的」に見るとTOPIXが勝っているからです。ただし、1971年はまだ固定金利の時代だったはずなのでその辺りはよくわかりません。

50年のチャートとか長すぎて参考にならないと思うかもしれませんが、私は30代で投資は死ぬまで行おうと思っているので、「非現実的」な期間のチャートだとは思いません。むしろ、これからは20代で投資を始めて、100歳まで生きる人がどんどん出てくる時代だと思っています。50年という投資期間は当たり前になると考えているので現実的なチャートだと考えます。

まとめ

S&P500は30年の期間で見ると日本株と比較して成長しているが、50年の期間で見ると一度もTOPIXに勝てていない。しかし、近年は切迫しており、近いうちに抜かれると予想できる。
ちなみにTOPIXの年足データは「日本取引所グループ」のサイトからダウンロードできます。

https://www.jpx.co.jp/markets/indices/topix/index.html

S&P500は気合で探します。

記事の内容が長くなったのでまとめは短めにしておきます。

余談

自分の記事もそうですが、グラフと言うのは作り手の都合が良いように作られていることがほとんどなので出来れば自分で検証してみてください。
特に、3D表現されているグラフ、単位が揃っていないグラフ、スケールが違う物は注意です。 その他に右と左に軸があるもの、無意味にカラフルなグラフにも気をつけてください。

個人的には色付きの表もやめてほしい。大事な数字が見辛いです。